existence |
りさこ様 |
石田三成は真田幸村を好きだと言う。 真田幸村は石田三成を好きだと思う。 同じ気持ちか同じ言葉か、望んだのはどちらだったか、本人にしかわからない。 まったく同じ感情が、三成にも幸村にも、それ以外の個体にもあらわれるものだろうか? それ自体に誰しもが明確な答えなど探し出せない。 どんな哲学を用いても、共有し得ない願いであったはずだった。 「意味も意義もまして価値すらない私です」 幸村は三成を見ないようにつぶやいた。 「そんな尺度を必要とせずとも、俺はお前を認めるだろう」 三成は幸村から目を逸らさず、告げた。 「傷つきやすく壊れやすく情けなく、過剰に臆病でも、俺はここにいる」 三成は常に無く、腹の底から声音を搾り出した。 「それだけで生きていけるのですか」 三成の言葉は断定的だ。 「俺もまた生身をかいくぐって産まれた死体だ」 潤んだ瞳を睨むように細めながら、三成は言った。 「ひとは産まれさせられるのです。望んではいない。願ってもいない」 首を振り、幸村はもう一度視線を外した。 「では幸村、お前に問おう。何故、俺はここにいる?」 にやり、と音がしそうなほどに三成が口角を上げた。 「望まれ、願われた存在だけがここにいるのだ」 はた、と幸村が三成を見た。 「私も、ここにいます」 無意識に口が割られる。 「お前の意思かもしれない。そうでないかもしれない。だが、俺はお前を望むだろう」 三成はまっすぐ幸村を見つめて言った。 「今宵の三成殿は、何を仰りたいのか…」 頑固に目を逸らし続ける幸村の頬を両手で包む。 「…お前が望もうと望まなかろうと…生まれてくれて、ありがとう、と…そう、言っているのだ」 くしゃくしゃに歪んだ顔で、幸村は何度も頷いた。 |
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りさこさまのHPにですね、アップされていたんですよ。わたくし、これアップされた日に読んでいたんですよ。にも関わらず、自分の名前のとこにブラックリストでも載せてたのかというくらいの勢いで気づかなかったんですよ。ちょっありえなくね?(爆)ほ、ほんとすいませんでしたりさこさんんんん!! 自分が好きになれない幸村に、なんとか生まれてくれてありがとうって伝えたくて難しいことを言ってるんだけど最後はストレートに、でも恥ずかしくて顔赤くしてる三成が大変萌えです。もうっ三成ったら!!!もっと言ってあげてもっと言ってあげて!!とか叫びたいくらいほんとにもう!! りさこさんほんとにありがとうございますぅぅぅ!! ほ、ほんといただいてよかったのですか私ごときにガクガク。あああ幸せすぎる…!! |
りさこさまのHP「負け犬」(11月27日にサイト名変更予定だそうです) |