こんなのはらしくない。
 自覚してしまったら最後、もう逃げられない。
 いっそ気づかないままの方が良かったかもしれない。
 そうすれば、この胸の痛みも知らないふりをして、思いがけないことなど願わなかった。
 昔から、頭は良いと言われていたし、自分でもそれを自覚していた。
 しかしこれとそれとは話が違う。掴もうとする自分の欲望の大きさに驚く。
 あの男を相手に自分は何を考えているのか。
 自分より強い、そんな奴を。

「三成殿?大丈夫ですか」
「…ゆきむら」

 咽喉が渇いている。早くこの渇きを潤したい。
 でも、いえない。

「……別に、なんでもない。俺の心配より自分の心配をしたらどうだ」

 自分のことを、友と呼ぶこの男に、間違いなく自分は欲情している。
 知っているか、幸村。
 今だって、そう思っている。


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煮詰まっている人が萌え。「俺は勝ちたいのだ」の三成も良かったですが、幸村のことを考えてドロドロした欲求に振り回されている三成、とか。いいなっ て おも うんですけども。