for the HEROS |
出会い別れも生きるも死ぬも、全てはただあるがまま。 生きるべくして生きるのが、大不便者、前田慶次の生き様だ。 世の流れは常にあるべくしてあり、抗わずただ生きることを身上とし。 だけれども、あの姿を見た時に感じた感情は忘れない。忘れられない。 「慶次、すまん」 景勝が苦い顔で頭を下げた。主君にそうされる謂れはない。慶次は困ったように肩を竦めた。 「構わんさ。俺はむしろ嬉しいんだぜ」 世の流れは今、上杉と徳川の二大勢力が睨みあう形となっている。しばらく戦らしい戦はなく、静かに時が流れていたが、ついに対決に至ることになった。 敵方、一番槍を努めるのは本多平八郎忠勝。徳川に過ぎたる者と呼ばれる男だ。幾たびも戦場に立ち、家康を守り続けた。その身体、何者にも傷をつけることあたわず。 一度だけ、戦場で見たことがある。あの目。その場にいるだけで感じる圧力。空気を振動させるほどの怒号。 一度目は景勝から戦うなといわれた。戦いたくてわざわざ殿を買って出た。 その時に見たのだ。あの目。あの姿。あの声。 戦いたい。 「慶次。いいか、決して命を無駄にするな」 兼続の声も慎重だ。 「わかってるさ」 そう、わかっている。だってそうしなければ、二度と忠勝と戦えなくなる。 「大丈夫、わかってる。俺ァ一度や二度戦ったくらいで死ぬ気はねぇよ。いくらでも、戦うさ」 そうして、国境近く門をふさいだ。たった一人、その門の前で人を待つ。 本多平八郎忠勝。 「よぉ、忠勝さん」 |
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唐突に忠勝と慶次ですいません。この二人はなんていうか、慶次→忠勝だと思います。忠勝さんはほらなんでも「よかろう我に挑め!!」だから…。受けでも攻めでもねぇ…(爆)。 というか、そういう思いとかからは遠いので慶次の一方通行でいいと思う(笑)。 |