そんなきみがだいすきです。 |
合戦の準備中に稲姫が一人で留守を守っている沼田城が、信之の実の父と弟により攻め込まれたことを知った信之は、ただちに兵を引き返し、帰還した。 「信之様!」 大丈夫か、と声をかけようとした。が、それよりもいきいきとした様子の稲が、 「何故戻ってこられたのですか!!合戦を前に逃げ出したと囁かれますは武門の恥でございます!」 と叫んだ。 いや、うん、わかってる。わかってるんだけど、一応これでも妻のことを気にしてここまで戻ってきたんです。いやいや、うんうん、戯言無用ですよね。義父上の口癖ですからね。知ってます。いいません。ごめんなさい。 「信之様、もしかして義父上や義弟が攻め込んできた事をお聞きになったのですか?」 そうなんだよ、と頷くと、稲姫はそれはそれはご機嫌な様子で微笑んだ。美人が機嫌良く微笑むとこんなにキラキラするのだなぁなんて思って見惚れたりして、いやでも今はそれどころではない。 「ご安心ください。稲はしっかり留守を守っております。義父上だろうとなんであろうと、敵に踏み込ませません!」 うん、それなんだけどね、ほんとに父上は孫が見たかったんじゃないかなって思うんだけど、ああいいや、聞いてないですね。うん、いやいいんです。本多さんちの血筋はいつでもどこでも自分ありきの世界ですからね。偉大すぎて何もいえません。格好良いです。本気です。 「石田三成なども攻めこんできましたが、追い払いました」 なんで実質総大将の人がこんな城一つ攻め落としにきてるんだろう。何の策ですか?というか策だと思ってついてきちゃったのかもしれない。父上は案外そういうところ、お茶目に他人を振り回す人だから。というかご苦労様です石田さん。兵を動かす労力とかも兵糧とか考えてくださいよ。なんでもかんでもタダじゃないんですから! 計算得意ならわかるでしょうに! 「義弟とも久しぶりに顔をあわせました。強いですね。父上にはかないませんけど」 そう、幸村強いんだよ。ああ、でも義父上にはほんとかないません。あの人が来ると周囲の温度とかがかわるんですよ。なんとなく音楽が変わってるような気もするんです。あ、いや音楽ってなんだよってかんじだけど。 いや、とりあえずあの人は強すぎだと思うんです。でも幸村も強いんだけど、ああでも彼女の中には義父上に対するレジェンドがたくさんあるに違いないよね。うん、いいです。 義父上最強。異論ありません。 「…どうしました?」 稲がふと心配そうな顔でこちらを見た。 ああ、と頷いて、答える。 「いやぁ…稲が頑張ったんだなぁ…って」 沼田城はあちこちが破壊されていた。彼女がどれだけ抵抗したかのあらわれである。 |
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2006.09.22初出。ブログ掲載小ネタの信之×稲姫でした。 あの外伝プレイして、三幸ァァァとか叫びながら片隅で稲たんラァァァブとか思っていた。信之と稲姫の関係はオリ●ジでいいと思います。いなちゃんかっこいー! |