戦が終わった。小競り合い程度の小規模な戦ではあったが、三成は無事に勝利を手にした。
元来、戦は苦手だ。そのせいで軽んじられたこともよくあった。
だが今回は、しっかりと手ごたえを感じるに十分な戦だった。
気分が高揚している。ひと目がなければこの場で叫びだして勝利を喜んでいるかもしれない。
気がつけば空に浮かんでいた太陽が、西の空へ傾きかけている。一日の終わりを締めくくるのに、感動的な茜色で世界が色づいていた。
「三成殿！」
呼ばれて、振り返った。
そこには、やはりどこか興奮気味の幸村がいた。茜の空に染まった彼の赤備えが眩しく見える。
「幸村か。援軍を寄越してくれたこと、感謝する」
「いいえ。我らは後詰めでほとんど何もしておりませんよ」
「真田の援軍がいるというだけで、我らの士気も上がる」
「私はこの戦に貢献できましたか？」
「無論だ」
「それなら、よかった」
幸村が微笑む。つられて、三成も口許が綻んだ。
茜の空の下で、互いの無事を喜んで、勝ち戦に高揚した気持ちを抱えて、笑い合う。
ずいぶんと、幸せなことじゃないか。
三成はそう思って、一層笑みを深くした。