花に嵐 45




 また春の季節がやってきた。
 目の前に広がるのは毘の旗印。
 そして、自軍の旗印は大一大万大吉だった。背後には、豊臣の旗印もある。そして、真田の六文銭も。
「幸村を生き返らせるとは、どんな術を使った?」
 兼続の言葉に、三成は笑った。その顔には自信がにじみ出ている。
 今までの、ただ他人を蹴落とすようなものではない。本当に、自信を得、全てがうまくいっている時の男のそれだった。
「さあな。教えてやらん」
「ふふ、まぁいいさ。三成、この戦、どちらが勝っても義の勝利。実に喜ばしいではないか。そうだろう?」
「兼続らしい」
 兼続も三成も、一歩もひかない。
 幸村はそんな二人を見つめて、そして三成へ言った。
「三成殿、勝ちましょう」
「ああ、勿論だ!」

 季節は春。
 桜が舞っている。戦場とは思えないほど、その場は薄桃の色にまみれて、美しかった。
 そして三成も幸村も、そして誰も彼もが、その春を待ち望んでいた。

「いざ、参る!」



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あとがき


ここまでお読みいただきましてありがとうございました。
エンパの発売からおろちが発売したりしたおかげでしょっちゅう歩みが止まるこの話でしたが、無事になんとかかんとか終わらせることができました。
元々は「真田が徳川についたらどうなるか」という話を書きたかったのですが、気がつけば上杉軍が猛攻を仕掛けてきていつの間にか徳川軍の真田ではなくなったような、そうでもないような。不思議なかんじの話になりました(笑)。

はじめてエンパで「敵将は友」のイベントを見た時、そりゃあもうあまりの衝撃にポカーンとしてしまったという懐かしい思い出があります。一体コエはこの二人をどうしたいんだい…というところから始まって、最初は1話で終わらせるつもりだったのですが、ちょっといけるところまでいってみようか、と思ってはじめてみたらとんでもないことになった、というかんじです。結果的にはおろちの話とほとんど同じくらいの話数で落ち付きました。むしろよく落ち付いたなーというか、ラストあたりはちょっと素ッ飛ばし気味ではあるんですが、それもこれもみつゆきだし、ということで…。

今回は真田が豊臣の敵になるシーンをどうしても入れたかったので、秀吉には申し訳ない役回りをふってしまいました。かなり心苦しかったのですが、ストーリーの都合ということで許していただきたいです。豊臣ファンの方がいらっしゃったら申し訳ない。でもエンパをプレイしていると、思わぬ人が天下を取りそうだったり、思わぬ人が歴史に消えていったりするので、そこが面白いゲームだと思います。
一度は士官断ってきたくせに在野にいる時に声かけたらあっさりOK出してきたり、攻め方によっては周囲が敵だらけで防戦一方になったり、そんなエンパが大好きです(笑)。

途中何度ももう駄目だ許容量越えている!って思ったこの話ですが、自分なりに書きあげられたのでほっとしつつ、ここまでお読みいただきまして本当にありがとうございました。

相変わらず幸村への熱は冷めやらず、といったかんじですのでまた何か書いていくと思います。その時はまた気長におつきあいいただければ幸いです!