私はね、幸村。
 おまえを弟のようだと思っていたし、実際そのように愛情を注ぎ、接していたと思う。
 だけど、それはあの瞬間から崩れたのではないかな。
 だから私は幸村の兄を演じるために、もっともっと己を磨いていこうと決めた。そうしなければきっと、ただただおまえの後ろ姿を見つめるだけの存在になってしまう。
 だからどうか、おまえはおまえらしく、まっすぐ前を見つめてほしい。
 振り向く必要などない。走る速度を緩める必要などない。
 いつか必ず、私はおまえに追いついて、微笑みながら共に歩めると。

「 ゆ め み る こ ど も 」
A5/P44/兼続×幸村/500円/

3エンパの戦史演武、上杉軍のその後の話。

上杉軍に迎え入れられた幸村は、謙信や綾御前などの期待を一身に受けていた。兼続もそれを喜ばしく感じていたが、ふとその姿に不安を感じる。
自分は共に歩める存在だろうか、と。

エンパの戦史演武をやっていなくても、ある程度わかる設定ではあると思います。…たぶん(笑)。


表紙は「Raga」の猪鹿蝶子さんに描いていただきました。ありがとうございます!

▼書店委託 「nowhere」か「氷室えり」で検索すれば出てくると思います。