何か聞かせておくれって? そう言われてもね、大して面白い話などあるわけもない。平凡な人生だもの。
でも、そうさな。あの話はどうだろう。
きみ、きみはどういう物語を御所望かな?
正義が正義のままに、輝かしい成功の物語?
それとも、その正義こそが歪む様?
ふふ、そんなことを聞かれても困ってしまうか。そうだろうさ。
だが、そうだな、これは見ようによっては喜劇で、立場によっては悲劇でしかない話。
滑稽で、愚にもつかない物語、眠るまでお聞きなさい。
そうして眠ってしまったら、全て忘れてしまいなさい。
きみの人生、これからだもの。
正義も悪も、君の中でどんな主観が生まれるのかも、全てこれから。
きみがどう生きるかも、これからさ。
がんじがらめの人生なんて、選ぶことはないんだってさ。